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Never attribute to malice that which is adequately explained by stupidity.

- Hanlon's razor / Robert J. Hanlon

ボス戦前夜(決戦とは言ってない)の結集と決起:『こみっくがーるず』原作79話

Category: 漫画 感想

もう本当に、前回の難を巻き返す展開が79話で来て安心しました。読んでまず第一声が「良かった〜〜〜……」でしたから。

いくら好きな作品でも、それに対する負の念が煮詰められた記事をブログに置いたままにしてると、書いた当人の癖に恐ろしいほど気が滅入っちゃいますし。
いやマジで。
この先うっかりまた落ち込まないように、前回感想の記事は全文引用しつつもその他諸々と共に丸ごと今回の記事へと組み込み、その上で元記事は消しておくことにします。
「ディスってる文章に興味ねえよ!」とか「もう読んだよ!」って方は今回の本題までお進みください。

弾かれ合い、溢れ出、流れ去った「おめでとう」:こみっくがーるず原作78話 ← 前回の感想記事

初見の印象はどうしても引っ繰り返らなかった。
※※※この感想は非常に否定的な文章が大半を占めています。ご注意ください。※※※
暗黒勇者のアニメ化ってそれ、作品の到達点やV先生の成長描写としては1つの極値たり得るハズでは……?

そもそもこみがはまんが家=自己表現が物語の主眼にある以上、基本的には殊更CP視点を重要視する必要性もないハズです。
もちろん例外もあるとは言え、シナリオ上の中心で自然と強調されてくるのは、「まんがを描く=二人三脚で走る」図式が成立している編かお(他まんが家と編集のCP)や、小夢が自身の人間関係をまんがへ落とし込んでいる際の土台にもなっているつばこゆ、根本的に自分以外の誰かのためにまんがを描き始めた琉姫周りくらい。 ……と、ここまで言いすぎてしまうのはまあ、ボク自身の歪んだ見方ゆえでもありますが。 自身1人の(厳密に言えば、親との確執にも繋がっているにしろ、根本的には単独のファクターで決着でき得る)問題を抱えたV先生の、その成長を裏付ける1つの極値になれた可能性もある「アニメ化決定」の報が、作中視点で全く関係ないかおすの誕生日近辺と衝突して、それでエピソードの始点と終点を調整しないってのはどうしたもんか。
元々こみがには勢い重視で描かれている側面を感じていつつ、とりわけ最近は1話1話で主題に当たる出来事があっちこっちに飛び回っているため、そのうちまとまりの宜しくない回が出てくるんじゃないかと不安があった(70話辺りはそれが非常に大きかったのが尾を引いていた)んですが、ついに許容ラインを越えたかなと。
……
……あーあ。言ってしまった。
……これでも普段感想を言うならなるべく肯定的な見解を、と常々考えているんですが。
しかも既に完全陥落した作品ですし。
こんな悪感情をもちたくはなかった。
だって今回出ちゃった「暗黒勇者アニメ化」その1点を抜きにすれば、CP視点じゃなかろうと今回の話はいつも通り語れたんですよ。
実際かおすはちゃんと熱烈なお祝いを受けてましたし。「好゛き゛っ!!みなさん゛ん゛」とか笑顔で見てたので。
翼にしても、まんがに関して一度テンションが上がると目に見えて落ち着きがなくなる性分としては、自作品のアニメ化なんて重大な一件を努めて直隠しにしようとした(しきれなかった)姿が見られたところとか、いかにもな感じで良かったですし。
自分を過小評価するネガティブさの裏で他人の美点をきちんと見ているかおすらしいオチも、頭を冷やして見てみれば面白かったし。
なんだったらせめて話を膨らませながら前後編に分割して、少なくとも前編だけはアニメ化を隠し通しながら徹頭徹尾かおすが主役のエピソード、とかであればすんなり受け入れられたかもしれないのに。
「くわしくは後日」が次に回ってくるかもしれません。
あるいは前述の通り、こみがは各エピソードの独立性が高いですから、来月の展開によってはこの悪印象も幾分薄れるかもしれません。
それでも、この唯一にして大きすぎるマイナスポイントが拭えなかった。
果たしてなぜ3巻のテーマとして積み上げてきた大掛かりな前フリを、こうも唐突に、必然性の見当たらないコンテクストで、しかもメタ視点における配慮も何もなしに使ってきたのか。
正直言って今回はちょっとダメと評さざるを得ない。
今後掌を返せる展開が来るよう願い、その折にはこの記事の扱いを改めて考慮しようと決めつつ、今楽しめる部分をきちんと楽しむために、敢えて現状行き着いた結論もきっぱり述べておきます。

おまけ:ブログを書いた後のアレコレ

1週間経った今ふとこみがの最新話を読む……初見時の頭痛が引いてやっときちんとあのエピソードを受け止められるようになっただけに暗黒勇者アニメ化の件をまるまる1話割いて触れられなかったのが余計惜しまれる。

あ、一方でふわふわしていた翼が琉姫に対して親に構ってほしがる子供のように肩を揺らしていたのと小夢に対して心を落ちつけようと(!?)腕をむにむにしていたのを比して「何だこのアクションの差は……」とも。

琉姫のほうは「お母さんだったらよかったのに」発言が利いた一幕のようにも読めます。
小夢のほうはバレンタイン回以降翼が無意識に小夢を意識してる一面がありそう。ボク個人の視点でも、ほんの僅かながら掛け値なしのつばこゆ相思相愛ルートが見えた。もちろんまだ確定とはいきませんけど。
アニメ化のふわふわ状態がもし他の寮生の誕生日と搗ち合ってかおす先生に同種の行動を取るとしたら、そっちはどうなったんでしょうね。これもifとして気になる。かも。

Q. 結局何が言いたかったのオマエ

A.

  1. これまでの積み重ねまでをぞんざいに扱った展開はNG (創作論として)
    3巻分のエピソードをまるまる使って描かれた、V先生に課せられている成長の必要性を満たす展開。それに繋がるであろうことは容易に想像がつく「暗黒勇者アニメ化決定」の報を、次回以降へのフリとして小出しにしてしまった大味さ。(あれでも一応)先月ではまだ警鐘でしたが、こうして一線を越えるほど繊細さに欠けた展開がもし今後も続いたらと思っただけでもう……
    1. 付随して、今後の展開に先んじアニメ化決定そのものへ必要以上の特別感をもたせようとしたちぐはぐさ。そもそもアニメ化自体に翼母との確執を解消するまでの効果はなく、今後が正念場になるであろうと示されるくらいで終わりだろう(と思われるの)に、ここもいただけなかった。
  2. シナリオ上の重要なイベント(=上記展開)を別のイベント(=かおす先生の誕生日)にわざわざぶつけてきたショック (感情論として)
    ……4巻冒頭を思い出すとやっぱりオチまで1話通してずっと祝われてるかおす先生が見たかったという話。意外とこれがまた覆らない。再三言ってるようにエピソードの区切り方次第で充分フォローはできたハズですし。

まあ2は感情の問題なので別に良いです。1みたいなのが怖い

補強とお釣り

さて、じゃあ79話はどうだったのか。

いの一番にボクがほっとしたのは、現時点でアニメ化そのものはそれほど重要視されないという視点に触れられたこと。V先生は自身の抱える問題上特にそうですし、他ならぬV先生がきちんと「それ(アニメ化)より色々考えることがいっぱいで……」「そこにむけて仕事ふえていくから頑張らなきゃ……」と自覚していた形だったのが、ああちゃんと分かってるんだなとより安心させてくれました。
前回あすか先輩にしかアニメ化の件を明かしていなかった状態では浮ついていた様子ですが、それ自体は別に不思議じゃありません。V先生は幼少の頃から一度わくわくし出すと落ち着かない性格ですし、今回も琉姫さんの一言でその一面が漏れ出た一幕はあります。とは言え、なかなか言えない話であればあるほど余計に、一度打ち明けてしまえば多少落ち着きはするもんでしょう。

次に、母親との確執です。ここもぜひ触れておいてほしかったポイント。
過保護さからまんが家の活動を良しとしない母親にアニメ化の一件をどう報告すれば良いだろうか。報告してどんな反応が返ってくるだろうか。個人的には、この2点が押さえられていればそれで御の字と思ってました。
まさか浮ついていたところからボロが出て母親を余計にご立腹させてしまうとは。母親に口を滑らせた兄を追及する場面がありましたが、そもそも最初に兄へ口を滑らせたのはV先生自身です。ほほえまギャグでシナリオ上V先生に課せられたハードルを更に上げてくるんじゃない(誉め言葉)。

また、とりわけグッときたのが、一度実家に戻ってくるよう言われたV先生を送り出すまんが家寮の面々でした。
締切前の原稿をサポートする体勢に入った、V先生の師匠であるあすか先輩。言うまでもなく、74話であすか先輩が帰寮したからこそ叶う芸当です。
V先生のトーン指定を熟知しているくりす。遡ること56話、V先生が右手に腱鞘炎を患った回で、アシスタントとして八面六臂の活躍を見せたのがくりすでした。該当回では模写を重ね画風をトレースしたとしか言及されていないものの、同じくV先生の原稿事情を把握済みである人物としては最たる例でしょう。
この2人を起点に親交ある寮生たちが結集、助太刀してくる胸熱展開。
……何で前回と正反対に今回は過去の積み重ねをこれでもかと有効活用してくれてるんだ(誉め言葉)。

ってワケで。
アニメ化そのもの以上に重要な案件がある点。過去のエピソードを上手く活かしてきた点。
この2点で前回における見過ごせない欠けを補強。
加えて母親との確執に関する場面では山場の印象がより強まった点。
これによってお釣りがくるレベルの回だった。

みたいな感想で、本題を〆させていただきます。

本題から溢れたあれこれ

アニメ化の一件で気になったこと、まだあります。
曰くアニメの放送は1年半後だそうで、その時期にV先生たちはもう高校を卒業してると。

勝木母が定めていたまんが家継続リミット(残り約1年)を明らかに越えてるんですけど
母親はどんな判断を下すんでしょうかね。そこら辺、特にわくわく。まさか最後まで信じてもらえないオチとかないよな……?

しかも今回が7巻の2話目だとして、残り10話ちょっとで1年半後のアニメまで進むとか、当然不可能な速度ですね。
何が言いたいかって、メタ的に見てもアニメ(化)そのものはきっかけとして重要なイベントであると同時にもっと重要な主題があるってことです。
次回はボス(母親)戦であっても決戦ではなかった……みたいな流れになるんだろうな、と。

他、色々と拾いたい箇所をいくつか。
「とりあえずおがんどこ〜〜〜」が皆完全にかおす先生のノリですね。
「るっきーは……32歳くらいかな……?」にすかさずツッコミを入れてる琉姫さん、冒頭の「立派になって……!」みたいな目線がそういうことを周りに思わせるんだぞ。
あと空気を読んで心を無にしようとするかおす先生の顔好きです。大層笑わせていただきました。

終わりに

こみっくがーるず、今後も楽しんでいけそうで本当に良かった……!!!

Written on 2020/02/19