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「俺たちに帰る家なんてない。帰る場所をみつけるために俺たちは戦わなければならないんだ!!」

- 『仮面ライダー555』34話 / 草加雅人

釣り人の可能性と憧憬と:『スローループ』26話

Category: 漫画 感想

24話とかを見ると、1話の中にこの濃度が詰め込まれてるのは初見でたじろぐ。もちろん嬉しい悲鳴です。

相変わらず小学生組は冒頭から5人で仲良くやっててほんわか。藍子ちゃんどんだけ二葉ちゃんにぞっこんなんだ。
ただそんな藍子ちゃんに話を遮られる山本君と言い、顔は出しこそすれ台詞もない山下君と言い、どうにも男子組の不憫感は否めません。
まあ「山ばかトリオ」なんて言われるくらいだし、現状3人にフォーカスされそうな流れもないので、これはこれで良いのかも。
今回のお話を振り返りながら、いずれはひよりが5人にフライの手解きをするエピソードとかあっても面白いかもなー、などと思いつつ。

で、今回の扉絵ですよ。

26話より

改めてまじまじひより二葉コンビを見てると、2人のビジュアルが与える印象って結構似てるなと。
本作に出会った当時からボク個人の嗜好にぶっ刺さったひよりと同じ雰囲気を、二葉ちゃんに感じた記憶はこれまでなかったんですが、
あまりフェミニンすぎない装いで背中を合わせて体育座り、なこの扉絵の構図では、ある意味この2人こそ直系の師弟みたいで非常に纏まりが良いというか。
もちろん2人とも「趣味に女の子らしくないところがある」共通点はありますし、当たり前ではあるんですけど……
長々書いたことを端的に言うなら、

今回前半の二葉ちゃんいつにも増して刺さってしまった、めちゃくちゃ可愛いな!

って話。
後ろ髪が肩まで伸びていて(ミディアムくらい?)ひよりに比べれば女の子っぽいものの、ひよりと同系統の装いがきっちり似合うシルエットをしてるんでしょうかね。
加えて背中合わせで目線はお互いを見つめ合う、って構図までボク自身非常に好きなので、個人的満足度も非常に高い1枚。

そんな2人が餌釣りにトライする前半

ひよりが一歩踏み出したことで友達になると同時に「海に行こう」と約束もした11話以来、初めて2人きりのシークエンスですね。
二葉ちゃんから「初心者じゃないですよね……?」とツッコまれてるひよりですが、異分野へのチャレンジはまず基礎から、みたいなスタンスでしょうか。そういう人のほうがだいたい上達は早いものだし、頷けはする選択。この辺、フライへの習熟度も間接的に活きてそうです。
それでも初心者は初心者、まだまだ手元が覚束ない自分でのセッティングは今後の成長幅の裏返し。
あるいはイソメと格闘するシーンとか……P155-2のひよりは涙目すぎてちょっと笑ったり。
真面目な意味でも、歴戦のフライフィッシャーたちが開拓した釣り方の逸話を語る姿とか。この辺りまで込みでひよりの目指す目標は高いなと感じずにいられません(そういえばきらら展の書き下ろしもそうだった!)が、こういう場面にこそスローループで描かれる釣り面の軸が凝縮されているとも言えましょう。
そうかと思えば「だいたいの人がイメージする釣り」なんかで、全くの未経験者に対するフォローも利いています。
ボク自身、子供の頃ルアー釣りでちょっとだけスピニングロッドを触ったのが数少ない釣り経験なだけに、今回はこれまで以上に親しみの湧く釣りパートでした。

ところで先に上げたフライフィッシャーの逸話、「福岡の〜」って部分は実際の釣り歴史っぽいですが、もしかして信也さんや恋パパのポジションにはモデルとなった人物がいるんでしょうかね。
それとも各地にその釣り方が伝播していき、多くの担い手が生まれた中で、ひよりたちの住んでいた地域ではそこの枠に信也さんたちが加わったのか。
それこそまだまだ先でしょうが、釣りにまつわる史実とフィクションの接点を窺える場面が今後どこかで描かれたら、一読者としては嬉しい。
そしてP157-1における空の広がりは、先人たちの背中を追うひよりの可能性を演出してくれているようにも感じます。

打って変わって後半は文化祭

海凪夫妻はやっぱり特に不自然な距離もなく仲睦まじい感じなんでしょうかね……ボクの勘繰りが湿っぽかっただけなのだろうか……?
小春のクラスはとんでもねえ出し物してる。そんでもってもっとビックリなのは、小春節とも言うべきある種のサスペンス感性全開なこの出し物に小春以外のクラスメイトも乗っかってるってのが……これ先生はどう思ったんだろうな。
一方ひよりと恋ちゃんたちは比較的よくある出し物ですね。ひよりはもっと恥ずかしがってる表情が欲しいと思わなくもなかったり和装もよく似合うなあ。
「ネットにあげたりしないで」が差す「ネット」は、恋パパが使ってたFB形式のSNS(Force Book)でしょうか。もしあれだったらそりゃひよりは嫌がるわ。

この後半部分で個人的に注目しておきたいのは、それぞれにクラスメイトとの交流がきちんと描写されていること。これまで学校のシーンはほとんどなかったし(それで作品として成立していた辺りはそこまで軸がしっかりしてる証左でもありますが)、然るべきディティールは可能な範囲で押さえられたと言えるでしょう。

そんでもって遅れてきた二葉ちゃん藍子ちゃん。どうやら頑張ってステージで作文を読んできた様子の二葉ちゃん、「ついさっき(サバサンド)売り切れちゃって……」に対する「がぁん」顔が可愛い。
また、P170-1を見てると、二葉ちゃんはそれだけひよりに憧憬をもってるんだな……なんてグッときてしまいますね。更に次のコマでわなわなしてる藍子ちゃんがまた可愛い。これはある意味ひよりがライバルみたいになってしまった……?(ちょっと語弊)

終わりに

登場人物が多くて読み応え満点だった今回。

(二葉藍子コンビも良いですが)ボクはスローループだと前回のようにリスペクト重点の関係性が気に入りやすいみたいです。
フライに精通しているひよりと餌釣りの心得がある二葉ちゃんって視点でも噛み合ってるし、自分の趣味に関しては揺るがない(だからこそ小春にバッサリ切り捨てられたこともありつつ、さりとてブレない)ひよりが二葉ちゃんに尊敬される他方、図太さや動じなさの面では二葉ちゃんに軍配が上がる、そんな噛み合いもあるし。
ひより二葉コンビ、多面的に強い。前回の一花楓コンビと気色はまた違いますが、良い釣り友達になってほしいところ。

Written on 2020/09/24